Red Nose Dayに思うこと

日差しはますます明るく、庭にポツポツと春の花なども顔を出してきた。こう外が明るくキラキラしていると、浮かれ気分で水仙などを窓辺に飾ってみたくもなる。秋から続く冬のどんよりした空に慣れてしまった心がもう抑えられない気分。

ある日、学校から帰宅した子どもが「レッドノーズデーのお知らせ」なる手紙を持って帰ってきた。「3月24日はレッドノーズデーです。寄付金50ペンス(70~80円ほど)と赤い服で登校するように」とのお知らせ。

Red Nose Day(レッド・ノーズ・デー)は、イギリスで最も大きなチャリティーイベントのひとつ。聞いたことない、という方にちょいとお話ししよう。

レッド・ノーズ・デーはComic Relief(コミックリリーフ)というイギリスの慈善団体が1985年から始めたイベント。創始者は日本の女の子たちも良く知るイギリス映画「フォー・ウェディング」や「ノッティングヒルの恋人」の脚本家であるRichard Curtis(リチャード・カーティス)とコメディアンのLenny Henry(レニー・ヘンリー)。

ちなみにコミックリリーフは、つらい状況にあっても笑いで緊張感をほぐし、心を和らげる人物や話という意味。分かりやすいのは、涙なしには観れない実在の人物を映画化した故・ロビン・ウィリアムズの主演映画「パッチ・アダムス」だ。苦しい状況下にある患者を笑顔にするためにクラウンの鼻をつけて診療するドクターのお話。悲しい時こそ笑おう、という発想が私などにはとても“外国的”だなと感じる。(ちなみにこの映画とレッド・ノーズ・デーの関連性はない)

19990509749_31580c9b1f_b
実在する医師、パッチ・アダムス氏。

さて話は戻る。コミックリリーフは、当初はアフリカやUKで貧困のため苦しんでいる人たちのための音楽イベントだったが、年々多くのスポンサーやセレブリティがこの考えに賛同したことで、大きな慈善団体に成長した。1988年には音楽だけでなく「笑いは最良の薬である」と、クラウン(ピエロ)の象徴である「赤い鼻」をシンボルとしRed Nose Dayとして新たにスタートさせのだ。

その日はスーパーや学校でも売られているゴム製のRed Noseを鼻に付けたり、コミックリリーフのTシャツを着たりしてチャリティーに参加する。学校では生徒が各自寄付金を持参し、学校側がまとめてコミックリリーフに全額寄付をすることになっている。

DSCF1781_Fotor

後ろに切れ目が入って鼻に挟めるようになっているレッドノーズ。毎年変わるデザインとおもしろさで子どもたちが思わずコレクションしてしまう。

Tシャツは、コミックリリーフとイギリスの大手ブランドアウトレットショップTK-Maxとのコラボが毎回注目だ。カールラガーフェルドやアニヤ・ハインドマーチなど世界を代表する有名デザイナーがデザインし、ケイト・モスやリアーナ、ワン・ダイレククションなどのセレブリティが着て販売を促し、それに関わった多くの企業側は利益を全てチャリティに寄付する。若い子たちに人気のスターや大企業が関わることによって、益々チャリティーに感心を寄せる人が増えるうまい方法だなと感心しきり。

c3fe131d0b8629e8768e938ed39ffdd6Photo by pinterest

こちらは2013年のステラ・マッカートニーのデザイン。リアーナがセクシーに着こなしていて即完売。

2017年のデザインは世界的に名の知れたファッションフォトグラファーのRankin(ランキン)。大物ポップスターやデビッド・ボゥイから難民までさまざまな被写体をアーティスティックにレンズに納める卓越したセンスは、あのレディ・ガガ様もご指名するほどのお方。

cbd3d75fef7361e64010805540f7774b
Photo by Pinterest

2017年のランキン氏のデザインはユニークな動物がモチーフ。

Tシャツの価格は大人サイズだと£10~15前後。期間限定商品なのでお気に入りのデザインであれば寄付にも協力できるし、この機会に手に入れても良さそうだ。私も子どものために買いに走ったがすでに売り切れていた。

それにしてもイギリスは、レッドノーズデーに限らずチャリティーが盛んな国だ。町中のいたるところににチャリティーショップがあり、そこでは多くの人たちがさまざまなものを寄付し、また買い物をする。ショップには食器や生活雑貨や家具、洋服や靴などいろんなものが揃っている。人はいらなくなった物をそこへ寄付し、欲しい人が安く買い取り、収益は寄付を必要とする人たちに還元される仕組みになっている。運が良ければ手頃に欲しかったアンティーク食器や、新品のブーツ、家具なども手に入ることもある。

IMG_2022

これは素晴らしい仕組みだとイギリスに来たときはいたく感動した覚えがある。物を無駄にしない、必要な人が大切に使う、それが最終的に困っている人の役にたつという仕組みがなんとも心地良い。

日本でも使用した服や靴、日用品は貧しい国の子どもたちに送れる機関はあり、何度かやってみたことがあるけれど、もっと身近で気軽にできればいいのになと思う。一度使ったものはダメとか送料がかかるとか、何かと規制が多かったような気がする。それには受け取る側や送る側の色んな事情があるのだろうが、気軽にできない難しさを感じた。日本ももっと学校単位で、企業単位で明るくカジュアルでちょっとカッコイイチャリティーをできないものかと、ぼんやりと思う。

そんなイギリスや日本において、あれこれと思いを馳せながら、もうじき来るレッドノーズデーを迎える春の日だ。

ちなみにアメリカのレッドノーズデーは、今年は5月27日。