見知らぬ土地で家を探すstory #1

 

アムステルダムでいちばんの難関は「家を探すこと」と何人の人が嘆いていたことだろう。

 

慢性家不足のアムステルダムは、住む人の家が足りないにも関わらず、観光客用に民泊として貸し出す物件もあるためにいつも供給が不足しているのだそう。年々人口が増え続けていることもあり、家探しはいつも争奪戦。

 

「まともに住める家」+「住居登録ができる」という条件では、わたしのような外国人にとって不利になるのは確かなこと。ここアムステルダムでは、家は選ぶのではなく「自分で選ばれる立場」ということを忘れてはいけない。
現地に長く住んでいる人でさえ、みんな口を揃えて言うのだから。

 

はじめはとにかく住居登録ができる物件で…とネットワークの掲示板で見つかった、少し中心部から離れた郊外の家に住んでいた。リノベーションもしたばかりの、とても綺麗な物件。フラットメイトもとてもいい子ばかり、大家さんもともにかく面倒見が良く信頼できる人だった。アムステルダムに来た当初からいつも助けてもらって、(少し郊外にあることを除いては)本当に自分はなんてラッキーだったんだろう、何度も思っていた。

快適な家に住みながら、家探しには本当に苦労を重ね、数ヶ月ごとに引っ越しをしなければならない人や、住所登録ができる家が見つからないためにビザの申請に困っている人たちをたくさん見てきた。

 

ストーリー3

あれから季節を二つ越え、街を歩くたびにいつも思っていた。

 

「いつか壁を自分で好きな色に塗ったりできるような、セントラルの家に住みたいなあ」

 

人の心は欲ばりで、ひとつひとつ手に入れるたびに次のものが欲しくなる。ここに来た当初は、住んでみたい、もっと知りたい…と思う街に住めただけでも幸せだったはずなのに。いつのまにかこの街をもっと身近に感じたくなり、自分の暮らしを自分で好きなものへ近づけられるような、そんな次の夢を思い描くようになっていた。

 

ストーリー2
そのタイミングで、友人の一人が住んでいる家がオーナーによってリノベーションされるため、強制的に退去をしなければならないという。ということは、何がなんでも次の家を見つけなければいけない。その時の私には何かチャンスのような気がして、便乗して家を探すことに。

どうせなら、という気持ちと、すべてを欲張って家無しになるのは危険、という気持ちが入り混じりながら、冬を前に私たちの家探しがはじまった。