記憶に残る美しき日本#1

旅行先でも近所の何気ない通りでも、心に残る風景というのは誰にでもあると思う。日常の何気ない暮らしで、ふと思い出すシーンというものが。

私の場合、それは故郷にある佛通寺という禅寺で過ごした時間だ。昨年、家族を伴って帰国したときに「近くて日本的な場所」として外国人である夫を気遣って兄が選んだ場所。

子どもの頃から身近にあるお寺で、近すぎて取り立てて再び訪れようと思ったこともなく一瞬迷ったが、夫も子どもたちも行ったことがないし、行ってみるかと兄と私たち家族4人とで訪れることにした。

 

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写真提供:広島県

訪れたのは秋の紅葉にはまだ早い10月。もみじもまだ青々としており、風で鳴るカサカサと心地良い音や、傍を流れる澄んだ小川の音以外にしんと静まり返った境内には私たち意外誰もいなかった。

 

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境内に入ると現れる先祖供養のための五百羅漢像。どのお顔にもぞれぞれ個性が感じられる。

 

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羅漢とは仏教で人々の尊敬や施しを受けるに値する聖者のことを差す。ブッダに常に付き添った500人の弟子たちはどんな個性を持った人たちだったのだろう。

 

IMG_2052_Fotor大庫裏の奥には禅宗の僧侶、達磨大師。願い事が叶うと目を塗りつぶす「ダルマさん」の由来である達磨大師は、長年座禅を組み続けた末、手足が腐りなくなってしまったと伝えられる禅寺では象徴的存在だ。その鋭い眼光に「お前は間違ったことはしていないか」と心の中を見透かされそうな気がして思わず背筋が伸びる。

 

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写真提供:広島県

広島県屈指の紅葉の名所として、宮島と同じく秋には多くの参拝者や観光客が訪れる佛通寺。シーズンの11月にはライトアップも行われる。広島空港に近い山間にあるこの寺は、広島を訪れるなら最終日に足を伸ばしてみるのも良いかもしれない。