春を旅する#1 Seven Sisters~Eastbourne

みかんだのレモンだのが採れる温暖な瀬戸内生まれのせいか、海の傍にいるとその潮の匂いや風に“懐かしさ”を感じホッとする。波が少なく穏やかで、電車から見えるみかん畑の向こうにキラキラと光るふるさとの海。

今私の住むイギリスの海は、夏でも水温が低く泳ぐにはとても勇気がいる。それは故郷ののんびりした海とは対極にあり、何か厳しそうでちょっぴり苦手だった。

イギリスにも故郷を感じるような海はあるだろうか・・・。
ふと思い立って、以前から行ってみたかった海辺の町に足を伸ばしてみることにした。

 

行き先はロンドンから車で1時間半くらい。イギリスの歴史的建造物や自然保護にあたる「ナショナルトラスト」に指定されているサセックス州のSeven Sisters(セブンシスターズ)から海辺の町Eastbourne(イーストボーン)へ。

 

車を早朝から数時間走らせ、まずはセブンシスターズのカントリー・パークにあるビジターセンターに到着。
Seven Sisters Country Park 公式サイトはこちら

 

ここからはBeachy Head(ビーチ岬)が見れるため、公園内を少しブラブラすることに。
海峡からの風が想像通りすごい。寒いときには絶対に行きたくない場所だと再認識。その風がもたらしたユニークなアートを発見!

IMG_2078_Fotorここに育つ木は全て同じ方向に生えている。こんなところに「おおっ!」と反応する私。

 

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常に海風に吹きっさらしになるこんな場所ではベンチも長年もたないだろう。

 

多くの観光客が訪れる場所だが、中には崖ギリギリにまで身を乗り出し、地面が崩れ命を落とす方も少なくない。ここ周辺の土壌は黒板で使うチョークの原料となる白亜系チョークで形成されており、真っ白で柔らかく脆いのだ。

基本的に柵などは設けられていないが、最も危険とされる数メートルにわたってはさすがに亡くなった人々の十字架とともに警告を促す柵がかけられている。

 

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断崖絶壁から見えるビーチヘッド。天気が良かったのでとてもクリアに見渡すことができた。気温は高いはずなのにこの風のせいでとても寒い!

 

次は車でセブンシスターズの袂のビーチへ移動。

 

IMG_2080真っ白な断崖絶壁が太陽の光を反射するからか、周りが眩しいくらいに明るく、ビーチは小さくても数センチはある大粒の丸石に足をとられてとても歩きにくい。しかしそこはイギリス、少しでも太陽の恩恵を受けるべく寝転んで日差しを楽しむツワモノたちもいる。

 

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この”石浜”はビーチサンダルでは到底歩けない。石に海草がからまってすべりやすく、もし滑って転んだらものすごく痛いだろうな、と緊張しつつ歩く。

 

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ビーチにはお土産売り場や小さな博物館が併用された建物側から階段で降りれるようになっていて、そこから見下ろす景色も圧巻。まさに波に「削り取られた」大地の一角だ。

 

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セブンシスターズと呼ばれる所以は、この白亜の崖の頂を7人の乙女に例えたことから。手前から7つの頂が数えられるだろうか。一番高いところで150メートルというこの崖がどのくらいかというと・・・

 

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そびえ立つ崖壁と人の大きさから想像していただきたい。これが大きく崩れ落ちる瞬間というのは、どれほどの迫力があるのだろう。

 

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強い雨や激しい波で年間平均30~40cmづつ後退しているセブンシスターズ。海に崩れ落ちた大地は波で削られ丸い石を形成する。その石で誰かがアートを拵えていたのがとても印象的だった。

 

2時間ほどRock Pool(岩場の水溜り)で海の生き物やシーグラス探しなどをして過ごした。やはり海の傍で無心に過ごすと忙しくてささくれた感情も、悲しい事柄やエキサイティングな出来事も、穏やかでフラットな心にシフトできる。うっかり日焼けした頬に火照りを感じながら、イギリスの海も悪くないぞ、と苦手意識はどこかへ行ってしまった気がした。

 

さて、今夜の宿があるイーストボーンへ。

イーストボーンはセブンシスターズから車で15~20分のほど近い観光地で、ビクトリア朝のホテル群がとても美しい海辺の町。イギリスにしては雨が比較的少なく温暖なので、リタイヤした人々がゆっくりと長期滞在する場所として人気の街でもある。

 

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海辺に沿って瀟洒なホテルが立ち並ぶ。

 

私たちが宿泊したホテルは子ども部屋と大人の部屋が別になった広いスイートルームに関わらずWifiがなく、ジェームズ・ボンドの古い映画に出てきそうな鉄格子の扉を開けて乗り込むエレベーターを初めて体験した。古い建物が多いので滞在するならwifi事情も事前にチェックしておけば良かったと反省。

 

夕食は各自食べたいものがバラバラで、路上で家族で若干揉めていたところ、通りがかりの地元の方に「ここのイタリアンがおいしいよ。」と薦められたレストランへ。

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Pomodoro e Mozzarella。お店の公式サイトはこちら

 

お店の方もフレンドリーで店内も清潔、何より客層が上品でとても良かった。肝心の味も地元の方が薦めるだけあってスターターからデザートまでハズレなし。せっかく海辺に来たのだからとMonk Fish(あんこう)をいただいたが、身が引き締まっていてとてもおいしかった。人気店らしく7時には満席であったので、訪れるなら早めの入店か予約をおすすめする。

 

さて、明日は楽しみにしていたイギリスで最も可愛い町と呼ばれるRye(ライ)へ。海辺からアンティーク雑貨探しの旅に変わる。