Tender Words on Say Something Nice Day

“You Can Have Charleston” by Darius Rucker, born and raised in Charleston, SC

 

 

毎年6月1日は”Say Something Nice Day” (優しい言葉をかける日)。

発祥はアメリカ、サウスキャロライナ州・チャールストン。2006年、北チャールストンと南チャールストン市長・キース・サメイが「私たちの人生に関わってくれた特別な人たちに感謝の気持ちを伝えよう」と宣言したホリデイで、国で制定されている祝日ではないが現在も市長は毎年市議会でこの日を称えるのだそうだ。

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雨が多くても、きらきらと輝く夏の日差しがぴったりな美しいこの町だからこそ生まれた、ポジティブで愛らしいホリデイであると、遠い日の短い旅を振り返るたび思う。

特別なイベントなどが催されるといったことはないものの、家族や友人、普段お世話になっている人たちに「いつもありがとう」と声をかけ、オフィスや学校ではデスクの上にメモを残したり、また病院ではドクターやナースに、郵便配達に来てくれるメイルマンにも感謝を伝えようというアクティビティは、チャールストンからやがて全米各地へと広まった。

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中にはイヤな思いをさせられて良い言葉なんてとても浮かばないという人もいるに違いない。そんな時は、こんないいことを言った男の子がいる。

「優しい言葉を伝えられないなら、何も言わなければいいんだよ」

ディズニーの「バンビ」に登場するバンビの友達、うさぎのサンパー。気分が悪くて誰かに嫌味を言ってしまいそうならむしろ、何も言わず気持ちを軽くしてくれる詩集を読んだり、画集を眺めたりしてみる、ハーブティーでも飲みながら、せめてこの日だけは。これもまた、ささやかな幸せのつくり方。

心のこもった優しい言葉には人を幸福にする力がある。誰かと誰かが優しい言葉をかけ合ってそこで生まれたふたつの小さな幸せが世界中に広がっていけば、この地球はもっともっと美しい星になるだろうに。Say Something Nice Dayには、こうした願いも込められている。

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今日車を走らせながらふと子供の頃に食べていた母のお弁当を思い出し、もう食べることもないんだなと思ったら年齢を重ねることの寂しさを感じたのだった。

母のお弁当はバラエティに富んでいた。定番だったのは、唐揚げとゆで卵の黄身の部分をマッシュポテトとマヨネーズで和えてソフトクリームのように、半分にカットした白身の中に絞り出したエッグカップサラダのコンボくらいで、ホームメイド・バーガーの日もあれば、六本木の明治屋で時々買ってきた、見たこともなければ子供の口にはお味もちょっと微妙な「中近東のパン」なる名前のグレーのパンを使ったフライドチキンのサンドウィッチ、そして干しぶどうとにんじんのバターピラフの真ん中にドライカレーという日の丸弁当の日もあった。正直なところ、友人たちから「あ、ケイティの日の丸弁当、ヘン!」とランチボックスを覗き込むように笑われた苦い思い出もあるが、母には永遠にコンフィデンシャルとする。

今では珍しくもないシンプルなエッグカップサラダは東京・麻布で生まれ育った母らしく、すぐ隣に住んでいたアメリカ人家庭で祖母が教わったものだ。おかげでこのひと品は親子三代に渡る我が家の伝統料理になった。

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年老いた母は今も気丈でしんみりした話など好む人ではないが、「あなたのお弁当が食べたいわ」と今の気持ちを贈ったら、きっととても喜んでくれるだろう。

もうすぐ現役を引退する父には、「ありがとう、私の幸せな人生はパパがつくってくれたものです」と、電話は恥ずかしいからメイルしよう。

両親以上に大切になった夫には、そうだな、”You’re my eternal OAO(one and only) buddy (あなたは永遠に唯一無二の大親友)” と彼の肩をたたいて言おう。どうせおちゃらけられて終わるのだろうけど。

最後に、6月1日、ここに遊びにきてくれたあなたへ。

大切なお時間を私たちF.G.S.W. のために使ってくださってありがとうございます。

今日一日、フレッシュな空気を胸いっぱいに吸い込んでいつものごはんもより美味しく、大切な人たちとの会話も楽しみながら、幸せな気分でお過ごしください。

そしてこれからあなたが歩いていく道に、いつも明るく暖かな光が注がれていますように。

 

tulip photo by Roman Kraft
all other Charleston photos by Katie Campbell / F.G.S.W.