Moments #10: 黄金時間 ~ Golden Time of Day

 

 

“They who dwell in the end of the earth stand in awe of Your signs; You make the dawn and the sunset shout for joy.”  – Psalm 65:8

「地の果てに暮らす人々は神の燦爛たる御しるしに畏れを抱き、夜明けと夕暮れには歓喜の声を上げる。」 – 詩編65:8

 

よほど忘れたい思い出でもない限り海を嫌う人はいないだろう。ただなぜだか、サンセットを好きになれないという声は時々聞く。嫌いなのではなく、サンセットを見ると哀しくなる、怖くなる、人生の、あるいはこの世の終わりを見るような、そんな気持ちになると言う。

9

ある日そのことを思い出し、北海道最北端の町・稚内から留萌方面へと日本海に臨むオロロンラインを走りながら理由を考えてみることにした。

7月に入っても夕方の海風はまだ冷たいが、窓を開けて潮風を吸い込むと、ふとユーミンの「潮風にちぎれて」が頭の中で流れ始める。この歌の「泳ぐにはまだ早い」という出だしの歌詞が昔からとても好きで、海沿いを走ると時折思い出す。

10

夕陽がホライズンへと向かい始める前のわずかなプラチナ時間。裸眼でビーチに立てば、太陽の光を受けた水面のまばゆさに自分が今何色を見ているのか分からなくなって、一瞬サンセットを好きになれない人はこんな時の小さな不安を嫌うのではないかと思ったりする。

8

やがて訪れる黄金時間。詩編の言葉、本来もっと深い意味があるはずだが、海を眺めながら聖書の言葉は本当だと思う。目の前の世界をゴールドに変えてしまう神業に思わず「んんん」と溜息混じりの歓喜が漏れたのが何よりの証拠。

ちょうど私の足元から、もうすぐ沈もうという太陽のリフレクションがひと際輝いてひと筋の道となり、私は自然がつくり出す幻想の世界をただ見つめながら思う。

これは今日の終わり、ましてや人生の終わりなどではない。永遠に明日がやってくるという約束だ。そして検証した結果、黄金時間に不安はない。私は好き、この夕暮れ時が、やっぱり好き。

 

にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ