利尻の女神 ~ Rishiri Goddess Parenting Colony


Ocean Waves

 

面積182.15k㎡・人口約5.500人、北海道は利尻島。都会人には思いもよらない自然の美と驚嘆に溢れている。そして小さな物語が生まれそうな神秘も。

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北海道には名前の付いた岩が多いと海岸線をドライブしながらよく思うものだが、利尻島では2つ見つけた。ひとつは「寝熊の岩」クマが寝そべっているような形をしていると言う。けれど残念ながら私の目にはお昼寝中のクマが映りはしなかった。

そしてもうひとつ、これは何かあるに違いないと思わせたのが「人面岩」である。

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お分かりになるだろうか、海に向かい天を仰いで笑っている人の横顔。しめ縄のせいか、アイヌの娘に見える。穏やかな眼差しはうっとりと輝く太陽を見つめ、口元からは美しい利尻の自然を称えた民謡が聞こえてきそうだ。

ところがこの人面岩、いくら調べても名前が付いている他には特別な記述がない。何か伝説でも潜んでいそうな佇まいなのに。

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ウミネコ (Black-Tailed Gull) はチドリ目カモメ科の鳥類で、4月から7月にかけて繁殖する。北海道はウミネコが好んで繁殖する地である。ちなみにウミネコとカモメの一番簡単な違いは、クチバシの先端。きれいなイエローはカモメ、先端に赤斑を持つのがウミネコ。

ウミネコはカモメ同様顔に優しさが感じられずなかなかの強面であるが、こうして子供に寄り添っている姿を見ると、どんな生きものにも愛情は存在するのだということを実感させられる。心なしか子に向ける視線も温かい。

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まるでこの地と海を守る女神がウミネコたちと談笑しているような人面岩は7月、子育てマンションとして小さな楽園を成している。

女神は大きな波から子供たちを守り、成長を見守り、ウミネコの親鳥は女神を信じてここに落ち着き、安心して子を立派に育て上げるという使命と向き合っているに相違ない。

誰の束縛も受けない自由という幸せがここにある。けれど一方でその幸せはあらゆる「他」を無碍に傷つけない、本能に導かれた暗黙の了解という小さな秩序のもとに成り立っているものなのだと、ほんの短い時間絵本に登場するような光景を眺めながら、これが人にはどんなに難しいことかと羨ましく思ったのだった。

 

利尻島観光案内
Rishiri Island by japan-guide.com

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