Kintsugi – 金継ぎ Repair DIY

日本にいたときから器が好きで集めていたけれど、食器を持ってくるのはなかなかハードルが高くて帰国するたびにちょこ、ちょこと連れて来ている。家に付属しているのでもこと足りるけれど、お気に入りの器やグラスは普通の食べものでも、気分も時間も特別感のあるものになる。ついついパッケージのまま手を伸ばしてしまいそうになる誘惑は何度とあるけれど、お菓子や食べ物は簡単なものでも、せめて器に移すのは忘れないように…というのが自分なりのポリシー。

あるとき、気軽に使うのが忍びなくて、一度も使わずにいたお皿を持って来たことがある。とても不安だったけれど、パッキングをして服の間にはさんでおけば…と思ったのは甘く、やはりスーツケースを開けた途端に見えたのはかなしい姿。そのときのショックといったら…!

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坂井千尋さん作の、つばめのお皿。倉敷の林源十郎商店で器のフェアをやっていたときに持ち帰ったものだ。ざらっとしたわら半紙に版画を刷ったような絵の雰囲気と、手にしっくりくる大きさ。どの絵も味があったけれど、全ては買えないので一番好きだったつばめのモチーフにしたもの。

接着剤でつけるだけではひびから水分が入ってしまい、水を吸い込んでしまう。見た目も良くないし、そのまま使い続けるのが不安だった。こんなときに「金継ぎ」ができたらな、と思っていた。

ヨーロッパでは、アート作品としてもギャラリーやセレクトショップでよく”Kintsugi”を見かける。アンティークやヴィンテージのもの、割れてしまったものもKintsugiをすることで一点の価値あるものとして受け入れられているのが印象的。でも日本のように滑らかにするものではなく、ちょっと接着部がはみだしているのがノーマルみたいだ。ざっくりしていても、気にしない気にしない。

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京都で見かけた本物の金継ぎの美しさが忘れられず以前トライしようとしたものの、なかなか時間的にも価格的にもハードルが高そうで手を出さなかったことがある。でも、ヨーロッパ流の”Kintsugi”を見てから自分の中のハードルは下がり、なんちゃってでもいいからやってみようと閃いたのが、クラフト用のラッカーを使うこと。

これなら水分からも守れるし、ひびが味わいを増してくれるはず…とちょっとだけ期待をして。もちろん本物の美しさにはかなわないけれど、不安なまま使いつづけるよりはずっとまし。

画材展でゴールドのラッカーと筆を買い、いざチャレンジ。

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今回は接着剤でリペアした後だったので、ひびの上から塗っていくだけ。慎重に慎重に…

溝を埋めるのは難しいので、後からもう一度塗りをするか、今度は(今度、がないことを祈るけれど…)パテなどで隙間を埋められたらもっと良さそうだ。

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初めてはドキドキ。しかしラッカーは、塗りたてであればとても簡単に除光液で落とすことができる。多少乾いても、はみ出しは修正が可能。これは嬉しい気付き!

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裏と、表と。なかなか集中力が必要だけれど、これで水物も載せられるようになればすごく嬉しい。ドキドキしながら筆を進める。そして出来上がったのがこちら。

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最初は筆が細かったりがたがたしたので、後日もう一度裏面を塗り重ねた。ちょっと太いけれど、それも個性(という便利な言葉を覚えた)。以前のように、洗うたび水染みがしないようになり、雰囲気が出て一層愛着が湧いた。簡易DIYにしては、自己満足。フルーツやチョコレート、ちょっとしたおかずなど似合う範囲が広がった気がする。

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としばしの嬉しい気持ちも再び撃沈。今度はこちらでチャレンジしてみよう。黒にゴールドも映えるはず…なんて言い聞かせながら。

「金繕い」とも呼ばれる金継ぎ。きんつくろい、なんて繊細で美しい響きだろう。”Kintsugi repair kit” はこちらでも販売されている。

Humade – Kintsugi repair kit