噂のBiskie~真似できないロンドンの味

この夏に大英博物館にお目見えした「北斎展」を目当てにロンドンに行ってきた。ネットで早々にチケットは完売していたので、それならと直接行くことにしたのだ。

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注)写っているのは私ではありません。汗

しかし私は夏休みのBritish Museumを舐めていた。朝9時台にして博物館の広大な敷地を囲うフェンスの長さを軽く半分以上埋めつくす長蛇の列。

やっと入場できたところでレセプションの鬚のおじさまに北斎展はどこですか、と訪ねる。

「北斎?ああ、そっちは朝6時半に当日券は売り切れ。」

ヨーロッパでの北斎の人気は高い。想定内ではあったがここまでとは。まあ日本のアートがそれほどまでに評価されていることが誇らしくもあるのだが。

気を取り直して本日は代わりにエジプト展を見学。人気のエリアでもあり、最も見せ場である古代ミイラの前は案の定黒山の人だかりであった。疲れた。

せっかくロンドンまで来たのだから地元では買えない日本食材でも買って帰るか、と博物館の後SOHOへ移動。

SOHOには日系の百貨店やJapan Centreなどの日本食材を扱う店、書店、美容院などが軒を連ね言わば「日本人街」的な雰囲気がある。久しぶりに来たら緑茶で有名な「辻(Tsujiri)」や新しい寿司店などが増えていて、いつでも「日本の味」が手に入る便利さに「ああ、やっぱりいいなあロンドン」と指をくわえずにはいられない。

実はここにずいぶん前から気になっていたスイーツの店があり、ちょっとお茶でもと寄ってみる事にした。日本のメディアでも数年前から取り上げられているBiskie(ビスキー)というスイーツを作るベーカリー「Cutter & Squige」へ。

ピカデリーサーカス駅で下車、有名ブランドが立ち並ぶレジェンドストリートをぐっと奥に入ったBrewer Streetにその店はある。

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明るく女子受けするラブリーな店内。

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ビスキーの他にカラフルなドリームケーキと呼ばれるケーキたちが揃う。中にはSNS用にかショーケース越しに携帯で写真を撮る人も少なくない(私もその一人)。

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それにしてもショーケース内はとても華やか。日本のデパ地下のケーキもこんな感じだったかな。もう記憶に遠いけど。

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Photo by Instagram Cutter&Squidge

華やかなドレスショップのようなショーケースの中から私が選んだのはPISTACHIO ROSEBERRY(ピスタチオ・ローズベリー)、チョコ好きの主人はCHOCOLATE LAVA(チョコレート・ラバ)を注文。

食べる前にここまで来てなんだが、私にとって海外のケーキは甘過ぎるものが多く、しかもこういったルックス重視のケーキは見かけ倒し、というのが多い。バタークリームもそう得意ではない。

ビスキーもそのファンシーさで話題になってはいるが、どのサイトを見ても味の感想などがいまひとつ不明なので、意を決して試してみる。

ひとつの大きさは6~7cmほどだろうか。フォークで刺してみる。ビスケット生地が固くて崩せないので、ナイフで押さえて割りながら慎重に。

少しチューイーなビスケットに挟まれたライトな甘さのバタークリーム、中に仕込まれたフルーティーな果物の風味が活きたジャム、トップのメレンゲも甘すぎず、全てのパーツに時間と手間をかけ作られていることが素人の舌にもわかる。アメリカのウーピーパイに見た目が似てはいるがまったくの別物と言っていい。

全てをひとまとめにして口に運ぶと、カリカリとチューイ、サクサクとフワフワ、トロリといろんな食感が口の中で広がり最後はスッと消えていく。一番驚いたのが、口の中にバタークリーム特有のベタベタとした甘さが残らない。なるほど新しく、確かにおいしい。主人と顔を見合わせて思わず頷き合う。

バタークリームの印象を覆す軽さと上品な甘さは、従来のものよりバターと砂糖を半分の割合にして作られていると言う。またビスキーに使われる材料は100%英国産の天然素材を使用し、カロリーは1個につき約200kcalを切る。このルックスでこのカロリー、おしゃれでヘルシーなものに敏感なロンドンっ子たちが夢中になるのもわかる。

開発したのはロンドンに住む当時29歳のAnnabel Luiとその姉Emily。そのサクセスストーリーは爽快だ。お菓子作りが好きだった姉妹が試行錯誤で考え出したカロリーが低くファンシーなケーキは、当初は地元のフードマーケットで販売を開始。ローカロリーのキュートなケーキは飛ぶように売れた。

その評判を聞きつけ、販売開始からわずか3ヶ月でイギリスの高級百貨店Selfridgeから1日400個もの発注を受ける。それをきっかけに瞬く間にロンドンっ子を魅了するスイーツになったのだ。

そんな話が掲載された雑誌で姉妹の写真を目にする。希望に満ち溢れた若い2人の顔に、同じアジア系だからというわけじゃないが、なぜか勝手に応援したくなってしまう自分がいる。

アナベルとエミリー姉妹

ロンドンの最先端スイーツとも言えるビスキーは、プレゼントやおもたせに頂いたら女性は無条件に嬉しいだろうな、とオヤジ目線で感じた極上スイーツであった。日本に上陸する日も近いかもしれない。

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店舗ではどちらかと言うとTake outする方が多く、私がお茶を楽しんでいる間、客が後を絶たない状態であった。ロンドンで新感覚スイーツを食べてみたい方はぜひ体験してみてほしい。

私も帰宅してから買って帰ればよかったなと後悔するも、もしや自作できるか?と思い立ち、時間をかけて同じようなものを作ってみたのだが見事に失敗。どうしてもあのチューイなのにサクサク→フワフワ→トロリの感じが再現できないでいる。

日本のレシピでも作られている方はいるようだけど、似ていて非なり。私が食べたのとはどうも違う。ちょっとやそっとでは真似できないコツや考え抜かれた材料・レシピがきっとあるのだろう。アナベル、エミリー、さすがです。

 

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