Prologue

人生に偶然などという要素は存在しないとイギリスの作家ジェイムス・アレンは言ったけれど、知らぬ間に何となく知っていてふらりとこの場に集まった私たち3人の出会いは、やはり偶然のイベントであったと思うのである。そしてその曖昧で軽快な偶然がここ、F.G.S.W.を生んだ。

街角に佇むカフェのようなこの場所に、私たちはそれぞれの時間から抜け出しぽつりぽつりと現れる。決まった約束はない。気が向いたとき熱いコーヒーの入ったマグを片手にデスクに着けば、そこはもう仕事部屋ではなく、目の前にあるのはPCではなく、ましてやひとりきりの空間でもない。自慢の話題を手土産に、年代物の丸いテーブルを囲む好奇心の尽きない女3人の昼下がりだ。

ここを訪れる人の目に最初に触れるスクエアのフォトは私たちが持ち寄った小さな話題。どこどこの何が美味しいとか、旅先で見た夕陽が忘れられないとか、春だからカーテンにはソフトな色を選ぼうとか、好き勝手なおしゃべりがテーブルを埋め尽くしていく。隣の席で聞いていたカップルが私たちの背後から顔を出し、だんだんと人が増えて輪になり「じゃあ私たちもいつかそこへ行ってみよう」「そのパン、うちでも作ってみるわ、教えて」こんなふうに話が広がっていったらどんなに楽しいことだろう。

そうして私たちと言えば、ひとしきりおしゃべりを楽しんだら店を出て、右手に置いたコーヒーを飲み干すとPCを落とし、仕事部屋の扉を開けてまたそれぞれの時間に戻っていく。

空間を超え、重なり合う偶然に思考をまかせて創り出されるF.G.S.W.の世界は言わば、面識のない私たちの、この上なく自由な時間差コーヒータイムである。

photo by Adam Przewoski
written by Katie / F.G.S.W.